ケロン星の森の奥…そこには悪霊の住む洋館があるという…


【悪霊の日常】


《その1》

朝。
この時間帯は一部の悪霊のみが行動する。
ナシシもその1人だ。
「(暇だ…エネネもまだ寝たままだし…目的もなく外行くのもだるいし)」
悪霊の親玉もといエネネは朝に弱く、主に夜にしか活動しない。
そこでふとナシシは思い付いた。
「(エネネの寝首かいてやろう…!)」
なんとも物騒な発案である。

ナシシはエネネのいる1番奥の部屋に向かった。鍵はかかってない。扉をそっと開けると、エネネが椅子に腰掛けて眠っていた。
シメシメと近づくナシシ。
ふと肩を叩かれた。
後ろを振り向くと…
「…よ、よう…エムム…」
エネネの魂兵器エムム。
エムムはナシシの首根っこを掴むと開きっぱなしのドアに向かってぶん投げた。
ナシシは廊下の壁に激突。
「…フン。寝首をかくなど変な考えを起こすからだ」
エネネはそう呟いて再び眠りについた。



《その2》

昼。
それぞれ腹ごしらえをしに行ったり、お昼寝したりする時間帯。
腹ごしらえはもちろん魂だったりする。たまに、魂を食べず別のものを食す者もいる。
「死んでまでモノを食べる必要性が感じられないヨ」
左手に持つティーカップをクルクルと回しながらチャトトは呟いた。
彼は趣味としてお茶したりすることはあっても、自らの腹を満たすためにモノを食べたことはない。
「暇だネ…」
ティーカップをクルクルと回しながら呟いた。
「旦那のとこに行ってみようカ…面白そうなことがありそうダ」
旦那とはエネネのことを指す。
館の奥の部屋に行く。何故か人だかりが出来ていた。
「(やっぱり…何やってるナァ)」
近づいてみると、ラススが気付いたらしく振り向いた。
「なんだ?チャトトもやりに来たのか?」
「やるってなにヲ?」
「大将にちょっかい出すんだと。僕はやらないけどね。大将の寝起きは最悪なんだぜ?死にに行くもんだろう」
「なるほどネェ…私も傍観を決め込むことにするヨ」
発案は見てわかるようにナシシである。
少し離れたところでナシシ達の行く末を傍観することにした。
そしてもちろん、ナシシはまた番犬のエムムにやられるのであった。
「(本当こいつらって見てて飽きないヨ)」



《その3》
夜。
もっとも悪霊達が活発な時間帯。
「さて…朝と昼間に小生の眠りを妨げたやつがいたんだが…」
エネネはちらりとナシシを見る。ナシシはスッと目をそらした。
「正面から挑めばいいものを…。腰抜けめ…」
そうエネネが嘲ると、ナシシは机をバンッと叩いて立ち上がった。
「腰抜けだと…?」
「あぁそうだ。腑抜け、腰抜け、へっぴり腰め…!」
どう見ても、エネネがナシシをけしかけている。
ナシシは朝、昼とエネネにこてんぱんにやられていたので、気が立っているのかその挑発に乗った。
ナシシはいつも持っているのこぎりを構えた。
「俺が腰抜けじゃねぇってこと分からせてやる!」
そしてナシシはエネネにいとも簡単に倒されてしまい、天井にめり込んでいた。
「…とりあえず暇だから魂狩りにでも行くか…」
エネネの一声に他の悪霊もぞろぞろと館を出ていく。気絶したナシシを置いて…

「さぁ、夜の始まりだ…!」




《終》


あとがき
悪霊も恨み云々でいつも殺気立ってるわけじゃないと思うんですね!
エネネ達はこんなギャグ?の入り混じった生活をしてますね、多分`・ω・´!

それでは、ここまで読んで下さりありがとうございました!
主催者様方もこのような素敵企画を行ってくださり、感謝です!

ユーレイもどき/不知火 宮春さん 作者:不知火 宮春さん
 

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